MD法はどんな手術か。 どんな疾患が適応か。 どんな応用がきくのか。
ここでは、手術顕微鏡とチュブラーレトラクターを用いて行う最小侵襲手術法(minimally invasive surgery:MIS)のMD(microdiscetomy)法について詳しく解説していきます。
腰椎変性疾患の手術は神経除圧が中心になりますが、私はMD法でそれを行っています。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などは、全てMD法で神経除圧を行いますが、再発例でも殆どはMD法によって対応します。MD法は患者さんに多くの利点を有する小切開の顕微鏡手術ですが、熟練した高度の技術が必要なことから、なかなか普及しません。ここにMD法を含めてMISの限界があります。とはいえ、腰椎変性疾患に対する手術の低侵襲化は、これからの高齢社会では極めて重要になります。なぜなら、腰椎変性疾患は高齢者の生活の質を損なう代表的疾患の一つであり、健康寿命の延伸のため克服しなければならない疾患だからです。私がこれまでに経験した脊椎変性疾患のMD法は、腰椎が約4000例、頚椎が約250例、胸椎が約20例あります。これらの経験から得たMD法の基礎とその応用を順次紹介していく予定です。
これからMD法を学びたい、あるいは、もっと極めたいと考えている脊椎外科専門医に役立つ記事にすることと、一般の方々にも広くMD法を理解していただける内容にしたいと考えています。
次に紹介する二つの書籍は、脊椎外科を専門にする脳神経外科医を対象に編纂されたものです。
私は、「若手脳神経外科医が経験したい手術アプローチ」ではPosterior approach to lumbar spine(腰椎後方アプローチ)、
「脳神経外科医のための脊椎外科」では腰椎椎間板ヘルニア摘出術を担当執筆しました。
腰椎変性疾患に対するMD法の基本テクニックは、これらNS NOWシリーズで詳しく解説してあります。しかし、実臨床ではより複雑な病態に遭遇することが多いため、どう診断し、どう手術を計画するか、一例一例で頭を使う必要があります。手術は診断の段階から既に始まっているとの認識をもって、合併症を回避して手術の目的を達成するための必要にして十分な情報収集と準備を進めなければなりません。
腰椎変性疾患は、決して手先の器用さだけで勝ち得る相手ではないことを肝に銘じることが必要です。このセクションにアップロードした記事を次に列記します。
このセクションにアップロードした記事を新→旧の順で列記します。
記事1:MD(microdiscectomy)法の基本手技
https://www.spine-drshujisato.com/2020/08/10/lumbar-disc-hernia-md-method/