腰部脊柱管狭窄症の再発は加齢で増加し、再発時に約30%で他椎間に新しい病変を合併していたが、全例MD法で対処可能でした。

腰部脊柱管狭窄症再発

(1)腰部脊柱管狭窄症再発例の患者背景

私が手術を行った腰部脊柱管狭窄症1150例の中に、脊柱管狭窄症の再発手術は58例(5%)含まれていました。私自身によるMD法の再発例が大部分ですが、一部他院の再発例も含まれています。

年齢は42~88歳(平均69歳)。男性34例、女性24例。
年齢別に再発を見ると次のようになります。

年齢別頻度は、70代(33%)、60代(28%)、80代(21%)、50代(14%)、40代(5%)の順でした。
このデータから、脊柱管狭窄症の再発は加齢で増加することが明らかです。

(2)再発例における新病変

再発58例のうち、17例(29%)で狭窄症の再発部以外にも手術の必要な新病変を認めました。手術は、1椎間41例、2椎間15例、3椎間2例でした。これは脊柱管狭窄症の再発と並行して、新たな病変が進んだことを示します。脊椎変性疾患であることを考えれば、これは当然のことと言えます。
新たな病変としては、脊柱管狭窄症9例、椎間孔内外狭窄症7例、椎間板ヘルニア1例であり、これらに対しても同時にMD法による除圧術を行いました。

(3)再発例に対するMD法手術

手術は、全例でMD法による再除圧術を行い、固定術はゼロでした。再発例のうち70~90歳が全体の54%を占めており、MD法による低侵襲除圧術だからこそ手術的対応ができたと思います。一般的に高齢者というだけで、手術治療は敬遠されがちです。しかしながら、MD法には高齢者の手術を可能にする大きなメリットがあります。「高齢なんだから、しかたない、あきらめろ」は、これからの高齢社会では禁句にしたいものです。

(4)これからの脊椎外科医に求められるもの

腰椎変性疾患は、高齢化に伴い再発が増えることを前提としなければなりません。従って、これからの脊椎外科医は再発に対して繰り返し低侵襲に治すことができるよう、その診断力と技術力を磨き上げていかなければなりません。これからの高齢社会が求める脊椎外科医とはそのような二刀流の巧者であることに間違いありません。

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