医師選びは難しい!何を基準に選んだらよいか?私が勧める脊椎外科医を選ぶ4つの基準
ヒトを選ぶ難しさは色々ありますが、難しくて切実なのは「医師選び」と言われています。自分や家族の運命を左右するかもしれない「医師選び」、共に考えてみましょう。
病気になった時、とりわけその病気が手術などのリスクを伴う治療が必要な時、多くの患者さんや家族は「医師選び」に悩むことでしょう。
腰椎変性疾患も例外ではありません。患者さんから「どうやって専門医を選んだら良いのか」とよく尋ねられます。ブログ「脊椎外科医の戦場」の医療相談室でも、そのような質問が少なくありませんでした。このことからも患者さんにとって医師選びは大変難しい問題であることが分かります。
かって、我が国ではどの医療機関にかかっても、同じ水準の治療が受けられると信じられていました。しかし、今日、それを信じる国民はきっと皆無と思います。病院や医師に格差があることは既に常識になっているからです。これを反映して、病院の実力とか名医とかを謳った記事がマスコミを賑わしています。しかし、患者さんが本当に知りたい情報は未だ患者の手の内にはないというのが実情です。
とは言っても、何かを基準に医師を選ばなければなりません。そこで良く登場する指標が手術件数です。これを目安に病院選びを行うことは一見理にかなっているように思われます。しかし、手術が多い病院には、執刀医も多いのが普通です。病院が手術をするわけではないので、患者さんが最も知りたいのはどの医師の手術件数が多いかです。この最も知りたいことは内部情報として、一般的には部外者の手には届きにくくなっています。
次に医師の職位にこだわる患者さんが多いと思います。職位が高いと、例えば部長という職位なら、患者さんは何かしら安心感を覚えるものです。しかし、外科医として優秀だから部長になったわけではない、そんな医師が少なくありません。従って、職位も必ずしも当てになるわけではありません。
学会が認定する専門医や指導医の資格が、おそらく患者さんにとって一番信頼できる基準になるのではないでしょうか。これらの資格は一定水準以上の経験と力を保有した医師に付与されることから、数ある基準の中で最も信頼できるものと言って良いと思います。しかしながら、これらの資格があれば、どのような腰椎変性疾患にも適切に対応できるかというと、それは別問題であり、保証の限りではありません。それは腰椎変性疾患がまだまだ未解決の問題を多く残しているからです。
こう書いてくると、何を基準に医師を選べば良いか、混沌としてきたと思われる方が多いでしょう。そこで私が背椎外科医を選ぶ際に重要と考える「四つの力」を紹介します。
それは、(1)診断力、(2)説明力、(3)技術力、そして(4)人間力です。
(1)診断力とは、患者さんから症状経過を聞き取り、神経学的検査から障害された神経を分析し、さらにMRIなどの画像所見を読み解き、これらを総合して正確な診断を導き出す力のことです。ところが、医師のこれらの力を素人である患者さんが見抜けるはずがありません。そこで参考になるのが、患者さんに病気と治療を説明する力、すなわち説明力です。
(2)説明力とは、医学知識のない患者さんに医学的根拠を示しながら、判りやすく説明する力のことです。専門用語で煙に巻く説明は説明ではありません。医師は患者さんの理解力に応じた説明ができなければなりません。この説明にこそ、医師が病気をどのくらい把握できているかが反映されるのです。すなわち、説明力を通して医師の診断力を伺い知ることができわけです。
(3)技術力とは、まさに外科医の力のコアの部分です。手術顕微鏡や内視鏡を自在に使いこなせる力であり、狭い骨の中の繊細な神経を傷つけずに安全かつ的確に操作する力です。手術の低侵襲化には高い技術力が大前提になります。外科医の技術力を知るには、手術を受けた患者さんからの口コミが最も確かだと思います。患者さんは入院中に手術を受けた他の患者さんの結果を目にすることから、情報源としてこれに勝るものはありません。
(4)人間力とは、外科医に限らず、医師を選ぶ際の重要な基準です。患者さんのために全力を尽くす医師でなければならないのは当然です。難しい手術を数多く手がけた外科医は謙虚さを身につけます。経験を積めば積むほど、自身の力不足を味わうことになるからです。残念なことに、他の医師の手術を誹謗・中傷する医師がいます。そうやって自身の価値を上げようとする医師は絶対に避けるべきです。多くの患者さんは、そのような医師の不遜な態度に、内心では不快感を覚えているものです。そのような医師は誠実でなく、自身の患者さんにも無責任であるからです。
以上、医師選びの難しさがある中で、私が考える四つの基準を紹介しました。
以前より先生のブログを拝見させていただいてます。
私は椎間板ヘルニア(L4L5)により下肢の激痛で薬物療法もブロック注射も効き目がなかったため、地元の総合病院でラブ法による手術を受けました。
術前の説明で内視鏡では出来ないということでおよそ9cmの傷があります。
痛みはすぐにとれましたが、足の親指に痺れが残ったまま、2年半が過ぎました。
この痺れはこの先もとれにくいと聞きましたが、最近、痺れがきつく感じ
サインバルタを40mg服用して一年経ちます。
しかしあまり効いている気がしません。
この薬は長期服用していいものでしょうか、他に何か手立てはないものでしょうか。
先生のご意見をお聞かせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
T.Y.さんへ
足の親指のしびれは、神経障害による後遺症と思います。
しびれは時間がたってからむしろ強くなることは希ではありません。
この種のしびれにはなかなか有効な薬はありません。
もし、サインバルタの効果を余り感じないのであれば、続ける意味はないと思いますよ。不快なしびれにはサインバルタ以外に抗てんかん薬などが使われますが、
それほど効果があるとは思えません。サインバルタの服用が長期化することによる問題は、皆無とは言いませんが、医師の管理下で投薬されているのでしたら、それほどの心配は不要と思いますよ。
それではお大事に。
from SHUJI SATO
ご返答いただきましてありがとうございました。
以前は一日が終わって寝床に入るときの小さな幸福感、
それが今では寝床に入って
眠りにつくまでが一苦労です。
足に低周波グッズを貼ったり
硬めのボールで尻をグリグリしたりして
足指の痺れを紛らわせながら眠りにつく毎日です。
この痺れがこの先もずっとかと思うとつらいですが、
サインバルタは止める方向でいこうと思います。
これ以上痺れがきつくならずに、
いつか痺れが消えることを願いつつ、
これからも先生の『道しるべ』拝見させていただきます。
T.Y.さんへ
サインバルタを中止の方向で頑張ってみられるとのことですが、もしそれが可能なら薬の副作用の心配から解放されますね。サインバルタなどの痛みやしびれを軽減することを目的にした薬は痛みの起こらない身体に根本的に治すわけではありませんので、効果が余り感じられないのであれば中止が望ましいと思いますよ。慢性期の痛みやしびれは色々な条件で強く感じたり、軽く感じたりします。もうご存じかも知れませんが、寒い時や疲れた時、不安な時などには強く感じますし、これとは逆に温かい時、十分に睡眠が取れた時、精神的に落ち着いている時などには軽く感じます。また、痛みやしびれのある場所に冷湿布を貼ると痛みやしびれが軽くなりますので、色々と工夫されて現在の状態を乗り越えるよう頑張ってください。このブログでは、皆さんに役に立つ情報発信を心がけていきますので宜しくお願いします。
お忙しいなか、また返信をいただき
文面を読ませていただいてとても嬉しく思います。
また同時に、なるべく薬にたよらず
痺れと向き合っていこうという思いが強くなりました。
お身体お大事に、脊椎疾患で辛い思いをしている者に今後ともお力添えください。
本当にありがとうございました。