腰椎変性疾患では、術前の神経障害の程度で手術結果が大きく変わる

 

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰椎変性疾患は、術前の神経障害の程度が軽いほど、術後の回復は早く、良好になります。

グラフは術前に神経障害があった患者(ピンク線)と神経障害がなかった患者(黒線)の術後の症状の変化を比較したものです。両方とも、術後は神経の除圧効果で腰や下肢の痛みは軽減します。しかし、2日頃から炎症のため腰や下肢の痛みが強くなり、7日頃からまた痛みは軽くなります。そして、術前に神経障害のなかった患者では14日頃には腰と下肢の痛みはほぼなくなります。一方、神経障害があった患者では、腰の痛みがなくなっても、下肢の神経障害による痛みは続き、これが消えるには3~6ヵ月はかかります。ところが、神経障害が進んでいる患者では、不快な辛い痛みや神経の機能障害が後遺症として残る場合があります。

アドバイス
 手術技術がどんなに良くても、神経障害が進んだ患者では、神経障害性疼痛(痛み)が術後も残る危険性が高いことを知っておきましょう。障害を受けた神経を元通りに治す手術はありません。手術は神経の回復力を引き出すことができるだけです。

 神経障害性疼痛は治療の難しい痛みです。しかし、この痛みは手術とそのタイミングの取り方で防ぐことができるので、保存治療にも係わらず腰痛や下肢の痛みが長く続く場合には、手術治療を検討することもお忘れないように。

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